日本の主要な仏教宗派について

日本にはさまざまな仏教の宗派が存在し、それぞれに教えや儀式の特色があります。本記事では、主要な宗派の特徴を一般的な内容でご紹介します。


浄土宗(じょうどしゅう)

概要

浄土宗は法然(ほうねん)によって鎌倉時代に開かれた宗派です。「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱えることで阿弥陀仏の救済を得られるとする「専修念仏(せんじゅねんぶつ)」を中心とした教えが特徴です。毎日の生活の中で人格をみがき、自分以外の人のことを想い、明るく正しく仲良く生活することを願い、いのちの尽きる時がきたならば、すみやかに迷いの世界を離れ、浄土往生が叶えられるという教えです。
そして、西方さいほう極楽浄土ごくらくじょうどに至ったならば、先立たれた大切な方と再会し(倶会一処くえいっしょ)、ともに成仏を遂げていくことを目指します。

主な寺院

  • 知恩院(京都府)
  • 増上寺(東京都)

浄土真宗(じょうどしんしゅう)

概要

開祖、親鸞聖人は浄土宗祖、法然上人に帰依し生涯弟子としての意識を持ち続けました。
法然上人滅後、念仏の意義について弟子たちの中に考えの違いが生まれたとき、親鸞聖人は念仏を称えることは、阿弥陀仏のはたらきそのものによるとされました。
そして阿弥陀仏による救いは、すでに私たちにおよんでおり、念仏を称えることは阿弥陀仏への感謝することととらえられたのです。

主な寺院

  • 西本願寺(京都府)
  • 東本願寺(京都府)

曹洞宗(そうとうしゅう)

概要

お釈迦さまが座禅(瞑想)によって悟りをお開きになったことこそ大切という教えです。
座禅によってこころと身体がやすらぎ、理想の境地にいたることができる、といいます。
お釈迦さまのこころ「仏心」は、自分だけでなく、他のひとも含めて、みな大事という思いやりのこころになります。
私たち一人ひとりが毎日の行動を整えることを目指す教えです。

主な寺院

  • 永平寺(福井県)
  • 総持寺(神奈川県)

臨済宗(りんざいしゅう)

概要

救いを求める仏教とは異なり、「自覚」の宗教と言われています。儀式よりは、日常の生活の中に大切な修行が込められていると考えます。
「一掃除、二看経」などと言われ、生活の所作こそ大切にされなければならないという立場。
座禅を悟りにいたる手段と考え、それにより真実の自己に目覚めていくことで、一切の迷いから解放されていくという教えです。

主な寺院

  • 建仁寺(京都府)
  • 妙心寺(京都府)

日蓮宗(にちれんしゅう)

概要

鎌倉時代、災害や外国からの圧迫によって、世の中の不安が高まりました。
千葉県(安房の国)に生まれた日蓮聖人は、数多くの経典のうち「法華経」こそ仏教の真髄であると考え、「南無妙法蓮華経」と唱える題目を掲げた仏教者です。
間違った仏教が蔓延していることが国難を招いている、として幕府や他宗を厳しく批判したため、何度も弾圧を受けました。
日蓮聖人の門流は多くの分派を生み、今日、新宗教と呼ばれる運動につながっています。

主な寺院

  • 久遠寺(山梨県)
  • 池上本門寺(東京都)

天台宗(てんだいしゅう)

概要

妙法蓮華経(法華経)を根本経典とします。ひとは、どんなひとでも生まれながらに仏性をもっている。すべての衆生は仏になれる、という立場です。
ひとは一人ひとり個性や違いがあります。だれにでも平等に仏性があるということは、それぞれが大切に扱われるべきということになります。
一方、私たちの行動はあらゆることにつながっており、お互いに影響しあっているということを説きます。

主な寺院

  • 比叡山延暦寺(滋賀県)

真言宗(しんごんしゅう)

概要

弘法大師空海が唐に渡り、当時の中国仏教の中から、密教と呼ばれる教えをもって帰国しました。
本尊は大いなる智慧と慈悲をもつ大日如来とされ、人は「仏のようなこころをもち」、「仏のように語り」、「仏のように行う」という生き方を指針とします。
この教えにより人々がつとめ励むならば、理想の世界である密厳浄土が実現するという教えです。

主な寺院

  • 高野山金剛峯寺(和歌山県)

まとめ

日本の仏教宗派はそれぞれに独自の教えを持ち、供養の方法や修行のスタイルも異なります。どの宗派においても共通するのは、故人やペットを偲び、心を清めることです。

供養を行う際には、家の宗派やお寺の方針に合わせるのが一般的ですが、基本的な教えを知っておくことで、より深い理解と安心感を得られるでしょう。